「拘縮」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?
あまりなじみのない言葉かもしれませんが、これは「こうしゅく」と読み、関節を動かさないために、次第に関節の動く範囲が狭くなった状態のことを指します。
関節をしばらく動かさないでいると、後で動かすときに関節がこわばった感じがすることを経験されたことがあるかもしれません。
この「関節を動かさない」という状態が長く続くと、本当に動かなくなってしまうことがあるのです。
しかも、いったん出来上がった拘縮はなかなか回復しません。
"肥満と社会政策"
健康体の人にとっては、関節を全く動かさない、という状況はなかなかイメージしづらいかもしれません。
しかし、寝たきりのお年寄りや、意識の無い方のように自分で運動ができない場合、脳卒中などにより手足に麻痺がある場合のことを考えてみましょう。
膝関節、肩関節、股関節等、体中の様々な場所で拘縮が起こりえます。
骨折などでギプスによる固定を受けた人などにとっても、非常に注意が必要な病気なのです。
関節の固定や運動麻痺があると、関節の変形及び拘縮が起こりやすく、10代の若者でも1〜2週間で完成してしまうと言われています。
寝たきりのお年寄り等にとって、どれだけ深刻な問題であるかは想像に難くないでしょう。
"燃焼、刺すような痛み"
拘縮が膝関節に出た場合、自力で立つことや、つまずいて歩きづらくなってしまい、立ち上がることすら億劫になってしまうこともあるのです。
そうなれば、身体をますます動かさなくなり、状況は悪化することは目に見えています。
上記で述べたように、拘縮は驚くほど短期間で進行してしまいますが、一度かかるととてもやっかいな病気なのです。
頭痛の教育のためのアメリカ協議会
お年寄りと膝関節の拘縮
車椅子のお年寄りで、膝関節が曲げられず、お尻が前方に引きずり出された危なっかしい状態の方を見たこともあるかもしれません。
これは、拘縮により、曲がらない膝を強引に下垂させようとしている為です。
本人にとっても苦痛な状況ですので、車椅子に乗ることも嫌がるようになると言います。
このように、お年寄りにとって膝関節の拘縮というものは、立つ・歩くどころか、車椅子での移動すら難しいものにしてしまうのです。
拘縮予防・治療の最大の方法は、日常的に関節を動かすことと言われていますが、身体を自由に動かすことの難しいお年寄りにとっては簡単にできるものではありません。
そのような場合は、家族等が手を貸し、次のような方法で動かしてみましょう。
ここでは、膝関節の動かし方について2種類提案したいと思います。
@膝を伸ばしたまま股関節を横に広げる→片手で膝の下、もう片方の手でかかとをささえ、膝を伸ばしたまま足を上下に動かす
A片手を膝の下、もう片方の手をかかとに当て、かかえるようにして足をしっかり持つ→膝をゆっくり、曲げたり、伸ばしたりする
すでに拘縮が起きてしまっている関節も、一日に一度でも痛みの無い範囲で関節を伸ばせば、とりあえずは最低限その状態は保てる、と言われています。
無理のない程度に短時間でも毎日行なえば、効果を期待することはできるでしょう。
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